列伝其の十三『陶晴賢<スエハルカタ>』
主君である大内義隆を自害させた私は、その甥である晴英<ハルヒデ>様を擁立した。私はその後見に収まった。しかし安芸の毛利元就が我に刃を向けた。元就は突然に厳島に宮尾城を築城を開始する。今、宮尾城を攻められれば万に一つも勝ち目はない。と言っているらしい。晴賢様これは元就の罠に御座います。という忠告を無視して私は厳島に戦力を集中投入した。(1555年)折からの暴風雨の中、まさか敵は来るまい。と高を括っていた。元就は甘くなかった。我が方の背後から奇襲を仕掛けて来たのだ。既に我等の船は村上水軍に破壊され、海上封鎖もされていた。どうやら死に時が来たようだ。
「まともな戦にならなかったのが無念でならぬ。おのれ毛利元就めが!口惜しや。」
『陶晴賢』討死