列伝其の十八『真田信繁<サナダノブシゲ>』
(1615年)大坂の冬の戦が終わり夏に入ったこの戦いは余裕を持って生き永らえたい徳川方と豊臣家と共に身果てるまで戦いその中から何かを見出そうとする豊臣方とくっきりと色合いが見えてきていた。 私とて真田の名に恥じぬ戦に憧れてこの地に来たのだ。今日この日は我が武辺の限りを試す絶好の最初で最後の好機ではないか!功名心の無い武将が居ようか?全くいないとは言えぬであろう。 茶臼山から家康本陣まで我が真田信繁隊は突撃を試みた。毛利勝永隊の活躍と援護もあって我が眼前に家康本陣の馬印が凛然と煌めいていた。
「真田信繁、大御所徳川家康殿の首頂戴に参った!」
「真田じゃ!大御所様をお守りせよ!」
騒然とする中で煌めいていたものが姿を消した。家康の馬印が倒れた証拠だった。家康は何処ぞ。 三度の突撃も虚しく真田信繁隊は崩壊。戦場を離れて休憩中に西尾なる者が私に気づいた。我が首欲しくばくれようぞ。
斬
『真田信繁』討死