【ルワイ組の娘 カスミの回想記】
私はルワイ組の組長《お父様》の長女カスミ。
あの子、妹のガーベラは私の可愛い妹だった……
私はガーベラのたわいもないワガママも可愛いく思っていた……
―――――――――――――――――あの日お父様がガーベラを震電に乗せるまでは―――――――――――
ルワイ組の組長が震電に実子を乗せる……それはガーベラを次期組長に指名したということをルワイ組内に示したということなのだ……
―――――――私はお父様のいらない子にされた……
私はガーベラのことが可愛いかった。ガーベラを憎めたならば、いっそ幸せだったのかも知れない……
だけど、心の底には今も笑顔いっぱいで私に甘えるガーベラが住んでいるのだ……
時が流れて、ルワイ組の次期組長を約束されたガーベラがルワイ組を飛び出してしまった……‼
私はお父様の命じるままにガーベラを始末するべく捜索の日々を送ったのだ……
再会は突然だった……
ガーベラは私が手に出来なかった自由、夢、友情そして愛を周りの《ハルカゼ飛行隊》から受けているかのように私は感じた……
私はお父様の命じるままにガーベラを始末なんて出来なかった……
だからといってお父様の命令は絶対なのだ。私はガーベラを守る為に命懸けの嘘をルワイ組の組長《お父様》にした……
あの頃が懐かしい……
ガーベラが笑い、その隣の私も無邪気な笑顔いっぱいの表情を浮かべていたものだ……
その時の絵画を入れた小さな額縁はガラスごとヒビが入っている……
私はまだルワイ組のしがらみから逃れることは出来ないだろう……
お父様は甘くない……
ひょっとしたら、私は泳がされているだけでそのうえでお父様の手のひらで踊らされているだけなのかも知れない……
――――――――例えそうであったとしても、否、そうであるならば私もガーベラもお父様の裏切り者になってしまう……
私はいつか、ガーベラの為にお父様に立ち向かうことになると思う……
だけど、本当はお父様もガーベラも私もルワイ組のみんな揃って笑顔いっぱいでいたかった……
なにもかも理想通りに行くのならこんなことになっていないのだから、私に出来ることはせめてお父様からガーベラを守ることぐらいしかないのだ……
ごめんね、ガーベラ……お姉ちゃんまだガーベラの前で笑顔いっぱいになれないよ……
また、いつか一緒にオムライスとカレーライスとプリン作ってあげるね……
そんなことを考えながら、私は日記を書くと筆を置いた……
私を呼ぶ部下の声が聞こえる……
さぁ、仕事ね……
[完]