列伝其の三『斎藤道三』
儂が美濃のマムシと恐れられていたのが夢幻であったかのようじゃ。
(1556年)この長良川の地で我が命運は尽きんとしている。
儂も老いたものよ。倅・義龍にこの首取られようとは、婿殿(織田信長)とて今は若武者。義龍からこの美濃を奪い取るは容易ではあるまいて。
川を挟んで義龍の軍勢が見える。その様を見ればわかる。儂は下克上の体現者でありすぎた。謀にまみれた故に人の信用は得られなんだ。それでも儂に従い共に死なんとする律儀者がこの儂にも居った。勿体無き律儀者よ。
「美濃のマムシ斎藤道三である!かかって来るが良い!」
儂の雄叫びと同時に義龍軍の種子島が火を噴いた。
『斎藤道三』討死