【第五話 《真紅の女龍》マダム・ルゥルゥ仕様『隼一型』】
イヅルマに到着したマダム・ルゥルゥとロリリコさんでしたが、ルゥルゥの九七式戦闘機はもう限界でした……
【第五話 《真紅の女龍》マダム・ルゥルゥ仕様『隼一型』】
「ジノリ技師長、お久しぶりです。」
「なんじゃ、ルゥルゥか……ん??お前さん何があった?普通に使っておれば九七式戦闘機がここまで痛むこともあるまい?」
「ジノリのオッサン!この九七式はもうオシャカだな……!」
小さな女の子が、工具片手にツナギを着た姿でジノリ技師長をオッサン呼ばわりしています。
「ナツオ!お前の様な半人前が偉そうなことを言うでないわ!」
ポカッ!
「痛っ!」
ナツオさんは、ジノリ技師長からゲンコツを落とされました。
「まぁ、確かにこの九七式戦闘機は最早もう大空を翔ぶことは二度と無いのは間違いない……残念じゃがな……」
マドモアゼル・ルゥルゥとして《真紅の女豹》と共に恐れられて来た相棒の九七式戦闘機はもうその命を終えていたのでした……
「ふむ。なるほどな……お前さん新しい戦闘機をワシに作れと言うのか?」
「That way!」
「ユーハング語で頼む。」
「そのとおり!」
「やれやれ……どいつもこいつもどどいつも、むちゃばかり言いおるわい……ナツオ!ガレージに使える機体あったか?」
「あぁ、隼一型がメンテとか済ませたら飛ばせられるぞ!」
「一からは無理じゃがありあわせならナツオが、その隼一型をお前さん好みにしてくれるじゃろう……ナツオ!しっかりやるんじゃぞ!」
「任せろ!オッサン!失敗したらイナーシャケツにぶち込んでくれ!」
それから、ルゥルゥとナツオさんは隼一型をルゥルゥ好みに魔改造を施しました……塗装は《真紅の女龍》を施しました……!!
「ナツオさんと言ったかしら?」
「あぁ、私はナツオだ。」
「あなた、私のオウニ商会に整備班長として雇用されるつもりはあるかしら?」
「私を整備班長に?冗談が過ぎる……冗談じゃないのか……ゴホンッ!ナツオです!只今よりオウニ商会のお世話になります!」
「【羽衣丸】の完成まではこのイヅルマにひとまず拠点を置くことになるわね……ナツオ整備班長には、整備員兼臨時戦闘機搭乗員として働いてもらうわ。よろしくね。」
「しれっと、劣悪な労働環境を告げられたような気がする……」
「いつも通りにございます。」
ロリリコさんは、パンケーキをナツオ整備班長に渡しました。
「ぱんけぇき?こんな小洒落た甘い物食べられるか……いえ、食べます……」モグモグッ…
「う……うまい。」
「いつものパンケーキにございます。」
「あんたは?」
「マダムにはロリリコと今は呼ばれていますが、私はリリコです……」
「リリコさん、よろしく。あんたは只者じゃ無さそうだな!あんまり探りはしないが…」
「知りたがりは早死に致します。」
「然もありなん。」
【雇用契約書】
《羽衣丸整備班長》
[ナツオ]
[オウニ商会羽衣丸所属]
[正規雇用]
[整備員兼臨時戦闘機搭乗員]
[給与及び賞与等別紙参照]
[昇給あり]
『オウニ商会代表者 マダム・ルゥルゥ』
ナツオ整備班長は、マダム・ルゥルゥが初めて正規雇用した正社員となりました。
《真紅の女龍》隼一型マダム・ルゥルゥ仕様の性能は如何程なのか?
気になります……
(つづく)
マダム・ルゥルゥの九七式戦闘機の乗り換え話とナツオ整備班長誕生回です……!!
第六話に御期待くださいませ……!!