ササキ「ササキ入ります」
ササキは緊張の面持ちで出頭した。
???「入りたまえ」
彼は軍令部のナガノ総長である。
ナガノ「貴官を呼んだのは他でもない。貴官を壱號艦、いや『大和』の艦長に任命する。期待に応えてくれたまえ。米英蘭仏とキナ臭いようだ。連合艦隊のヤマモトも五月蝿いくらいに、真珠湾攻撃を訴えて来る始末だ。『大和』は予定より早く完成する。実戦に向けて訓練を徹底的にしたまえ!」
ササキ「ハッ!有り難き栄誉を拝命せし喜び、必ずや皇国の栄光に尽くします!」
私は『大和』艦長を拝命した。階級は大佐になった。ナガノ総長の後押しが強い人事だった。
対米開戦が不可避となりつつあるなか、ヤマモト長官は、ナガノ総長の無茶苦茶な真珠湾砲撃作戦を実行に移すことになった。
ヤマモト「ナガノさんはああいう人だからね。今さらこれしきで驚かんよ。ササキ君だったかな?」
ササキ「はい!」
ヤマモト「君はたぶんこれから、軍の派閥抗争に翻弄されるだろう。しかし、自分を曲げてはならんよ。あと無駄に部下を死なしてはならんよ。軍人らしくない矛盾した考えだがね」
ササキ「肝に命じます」
私は『長門』をあとにした。
つづく